Open Mind Japan
TSUNAMIアントレプレナーズ倶楽部
TSUNAMI Entrepreneurs Club
イベント・スケジュール

第11回のご報告

お勉強会講演

メンバー紹介
About TSUNAMI

 

 

 

 

 

→懇親会

 

 

 

一柳 良雄 氏「元気と知恵の経営 〜ベンチャーと人生〜」

一柳 良雄 様 (株式会社一柳アソシエイツ 代表取締役 & CEO)

・・・1946年生まれ。 1968年、東京大学教養学科国際関係論分科卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。田中角栄・宮澤喜一通産大臣秘書を務めた後、ハーバード大学(ケネディースクール)へ留学。1973年、行政学修士を
取得。通産大臣秘書官、近畿通商産業局長、総務審議官等を歴任後、1998年、同省を退官。1999年、大阪でベンチャー支援組織「ベンチャー コミュニティ」を設立、代表に就任。2000年、株式会社一柳アソシエイツを設立、代表取締役&CEOに就任。上武大学客員教授。現在、50社以上の企業とコンサルタント契約を結びベンチャー企業支援を行うほか、上場企業の役員、顧問を多数兼務。2006年10月からラジオ大阪にて、「一柳良雄の関西ビジネス進化論」のパーソナリティーも務める。著書に「元気と知恵の経営」(産経新聞出版 2007年)、「一柳良雄のベンチャー実践塾」(日刊工業新聞社 2003年)等多数。

◇◇◇

「役人で局長クラスまで行って、天下りをしないで独立しました。行政もベンチャーも同じです。評論だけしてもうまくいきません。いろいろ失敗して、仮説の中から知恵を出して、うまい仕組み、仲間が動いてくれる動機づけ、三方よしの考えでやらないといけません。今の日本は、消費者保護と言い過ぎて、役人が規制で入ってきて、外国から見ると何と魅力がないことか。」というお話を、冒頭でして頂きました。

◇◇◇

役目は大企業とベンチャーの橋渡し

1500兆円の資金を日本で活用して発展して、これからの子供達のためにいい社会を作ろうと考えて、そういう行動をしております。これからは、大企業を巻き込んでいかないといけません。残念ながら大企業はベンチャーに偏見を持っていますが、日本を活性化させるには大企業だけではできないではないですか。 「財界」という雑誌の新年号に、官僚OBのベンチャー体験記という記事が載っています。「財界」の村田社長に「大企業とベンチャーを橋渡しするのが一柳さんの役目だ。」と説得されて連載をさせて頂いております。

日本の余った資金を機関投資家、リップルウッド、サーベラスに商社が1000億円、2000億円預けて彼らがまたマネーゲームに使うということを思うと、池森さんは、やはり偉い方だなと思います。日本で頑張れと、ある程度、世の中のおかげで偉くなったのだから世の中に還元した方がいいという考えをお持ちで、池森さんは偉いなと思います。口だけで言うのはうまいが実行する人はいませんから。

天下りの道を捨ててベンチャーへ

役所を辞めて10年になります。天下りをしないで、自分の人生は残り一度しかないから自分でやりたいことをやりたいと思いました。「ベンチャー」と言って夢のある人間を一緒に育てて日本を活性化したい、大企業はどんどん序列化して官僚化する恐れがある、そういう思いでゼロからスタートしました。これが見事失敗しました。

何が失敗かというと、局長クラスだった時は、あれだけ一柳さんと言っていたのが、いざ個人商店になると、誰も会ってくれません。95%以上は潮が引くように去っていきました。存在感すらなくなってきました。私の同期は、今上場企業のトップですが、彼らが「一柳君どうするの?」と言うので、「自分わがままだけど、ベンチャーやるわ。」と言うと「バカか、何考えているんだ。黒塗りのベンツ捨てて地下鉄乗るなんて頭おかしいんじゃないか。」と言われました。自分の退職金でファンドを作ってベンチャーをやるというのですから、確かにおかしいですよ。そのベンチャーもうまくいきません。

6つのベンチャーをやりましたが、1勝2敗3引き分け。2敗はもう終わりました。3引き分けは元気に生きているわけでもありません。1勝だけは、今でも黒字でがんばっています。TSUNAMIさんとも知り合って、自分はやっぱり現場には向いていない、もうちょっと大企業とか行政と向き合っていろいろな関わりの中で動こうと思ったのです。そこで大阪と東京と連携してやろうとやっています。

ゼロからのスタート

一番悩んだのは、最初に会社を作って3年間、ベンチャーに投資するのですが、ある会社に紹介したいなと思っても会ってくれません。その時に、たまたま友人が「一柳、本を書け。本を書けば名刺代わりになる。別に本で儲けるわけではなくて、本を書くと書評が出たり、講演が増える。」と言ってくれました。なるほどなと思って会社を作ったのが2000年、2001年の7月に「一柳良雄のベンチャー入門教室」というのを出しました。すると書評が載って、若干関心を持たれるようになりました。マリアテレサが言いました。「愛情の反対は何か。みな憎しみというがそうではない。一番反対は無関心。」僕はそういう存在になっていた。だから関心を持ってもらわないといけません。ビジネスだから。

雑誌などに徐々に出るようになると、今度は会ってはくれるようになりましたが、ほとんどベンチャーのことは聞きません。「何で天下りしなかったの?何でつらい道を自分でやっているの?」と。最後は、「体だけは資本だから大事にね。さいなら」それで終わりです。これがずっと続く。せっかく大企業の人、幹部の人が会ってくれるのに、別れる時に、次につながる言葉を相手に話させなきゃと、そればかり考えました。次に会える時、どういう話をするか、だんだんポイントがわかってきます。同業他社の状況を調べて、その会社が遅れている所を話すとどきっとします。事前に調査をして、「一柳さん今日は時間が短かったけど今度いつ会える?」という台詞の打率を5割にするのが目標でした。やっと3年たって5割になりました。だけどベンチャーでは、うまく儲かりません。ベンチャーも勢いはあるが、世間知らずで、そういう意味で地べたを這いつくばった3年から4年は非常に勉強になりました。

ベンチャーでの体験から

下から上に物を見られるようになりました。突然個人商店になって初めて自分を見つめて、世間はひどい、世の中の人はひどいと思うのではなくて、そういう事もわからないのは誰だと、世の中はそういうものだと、会社を作って3ヶ月程してやっとわかりました。東大を出ているとかは関係ありません。世の中の現場の条理がわかっていなかったのです。そんな中で苦労して3年間やって、その後だんだん大企業のオーナー社長から相談が来るようになりました。将来の後継者、事業提携の話をされ、結局自分一人だけではできないので、40人位のそれぞれの分野のトップで、私と志の合う人とだけチームを作っています。

◇◇◇

 

 

トライアル発注制度

私はベンチャー振興をいろいろな所でやっていますが、ベンチャーが大変だなと思うのはやはり販路です。ITはいいが、物づくりはものすごく大変です。大企業に紹介しても実績を言われ、ものすごく時間がかかります。通産省はベンチャー振興をやっていたのですが、ベンチャーから物を買ってくれませんでした。会計法でそうなっているんですと。「1.国が取引する業者は実績がある事。2.会社の経理的な基礎が健全で、会社が永続するという事が想定されている事。」二つともベンチャーは駄目です。そこで私が働きかけ、福祉法人とベンチャーからの調達には随意契約に若干の弾力性を持たせて自治体が調達できるようにしようと、政令改正をしたのです。

この行動を起こす前に今から5年前、大阪でベンチャーコミュニティーで、ベンチャーの製品を僕たちでもっと応援できるだろうということで、大阪の50社の社長に会いに行きました。地元貢献でベンチャーが売る物に関心があればひとつでいいから試し買いしてくれないかと。ベンチャーは利益をとったらいけませんので、原価でということで。大阪では「買うて、試して、評価して」英語ではトライアル発注。試し買いをして、2ヶ月以内に、どこが駄目だったか評価を返してやってほしい、もし良かったらWinWinで提携してほしいということで、18件ベンチャーと大企業が取引するようになりました。これを自治省(現、総務省)にも持っていき役所でもやりました。

富山で塾をやっているのですが、富山県ではもう3年トライアル発注制度をやっており、民間にも波及しました。それが一つの地域おこしだと思うのです。38都道府県がやり始めました。トライアル発注制度がものすごく普及して、そこまできて初めて経済産業省の経済成長戦略に、若干トライアル発注的なものが反映されました。

ベンチャーの経営者から学んだこと

いろいろなベンチャー数千社と見てきて、本当にベンチャーの経営者から勉強させてもらいました。ベンチャーの人はいい。何がいいかと言うと、夢と情熱を持って活き活きと輝いているというのがまず一つ。でも、それだけだったらダメです。やはり次は、知恵と頑張りを両方やれる人でないとダメ。他の人に真似をされたらダメなので、差別化できるだけの付加価値をどれだけつけるかということです。知恵と頑張り、絶対に諦めてはいけません。大企業はほどほどにやるが、ベンチャーは諦めてはいけません。頑張り続ける、諦めてはいけない、飽きないでやるんだ、それが商いだと言っていました。

もう一つは、人間力と信頼度を高めてほしいということです。いくら頭が良くても、あの人はいい人だなあ、また会いたいなあ、あの人のためにやりたいなあと思われるような人でないと、他の人はボランティア的には付き合ってくれません。やはり、夢を共有して、その人間と信頼感を持つことができないといけません。そのためには、ベンチャーコミュニティーでいつも怒っているのですが、講師を呼んでの懇親会で、お借りしている大阪の産業創造館という市の建物の会議室を、10分できれいに元通りにするということです。公共の所にお世話になって、お客さんだと思われると困ります。みんなで感謝の気持ちで片づけて、次に使う人にもきれいにと思ってやるのがベンチャーの基礎です。ウソをつかない、人に感謝をされたら御礼を言う、そういう基礎を作っていかないと人間力が出てきません。人間力のない人は、頭がいい、情熱もあるが、結局ウソをつきます。小さなウソが大きな失態になるということは、社会の支持を得られるような発想がなかったということです。渋沢栄一が、「そろばんは持っていたが、論語は持っていなかったなあ。」と、天国から言っていますよ。そういうようなことで、是非ベンチャーは頑張って頂きたいと思っております。

◇◇◇

最後は、「過去と他人は変えられないけれども、未来と自分は変えようと思えばどれだけでも変えられる。そう思って夢を持って、今日も頑張ろうと思って生きております。」という力強いお言葉で締め括って頂きました。自らの体験をお話頂いたご講演は、大変迫力がありました。

◇◇◇

 

 

 

 

 

→懇親会へ