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蓑宮 武夫 氏「頑張れ日本の物つくり」

蓑宮 武夫 様 (有限会社みのさんファーム 代表取締役)

1944年生まれ、神奈川県小田原市出身
ソニー(株)入社後、初期のトランジスタの開発、製造を担当し、その後、ビデオ機器・オーディオ機器の設計から半導体の開発まで幅広く手がける。その中には、,パスポートサイズ「ハンディカム」、最後発で参入したパソコン「VAIO」などがある。生産技術研究所所長、レコーディングメディア&エナジーカンパニープレジデントを歴任。1999年より執行役員常務としてコンポーネントや半導体事業を統括した後、2001年より執行役員上席常務として品質管理を統括するCo-CQO(チーフ・クオリティー・オフィサー)、設計・生産・カスタマーサービス・資材調達を一貫して提供するソニーイーエムシーエス(株)副社長を兼任し、ソニーのもの作りの根幹業務に貢献。2006年2月に(有)みのさんファームを設立し、代表取締役に就任。2006年、TSUNAMIアントレプレナーズ倶楽部チャーターメンバー。ソニー時代の経験とネットワークを活かし、数多くの企業の成長をサポートしている。また、2006年11月に、横浜国立大学と実装分野に関して産業界に新事業を起こそうとする「よこはま高度実装技術コンソーシアム」のOB会座長に就任。

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ソニー時代に体験したこと、多くの業界の心ある先輩方、友人と交流をしてきまして、自分の思いが強くなった点があります。日本は世界に輝く時代を少なくとも50年くらいはお約束できるのではないか、という思いを皆さんに述べさせて頂いて、是非、頑張れ日本のもの作り、ということを共有できればありがたい。自分の体験と、もの作りに真剣に取り組んできた先輩や仲間と多くのディスカッションを重ねてきたことを中心に、お話させて頂きたい。

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ソニーでの経験

ソニー一筋で大変幸せなソニー時代でした。その間に、半導体各種デバイス、設計システム改革、部品開発、いくつかの事業責任者、という形で多岐にわたる体験と経験をさせて頂きました。半導体、実装技術を使ったもの作りという形で、パソコンやビデオカメラや電卓をやってきました。半導体、実装により、こういったものが可能になってきた。

その次に、パスポートサイズのビデオハンディカムの部品の開発責任者になり、あらゆる部品メーカーと話をしました。リチウム2次電池を実用化したのは私です。とても高エネルギーで危ないものをいかにマネジメントするかということが課題でしたが、それが達成できたため小型化ができました。

ソニーがレイトカマーとして最後に市場参入したのがパソコンです。多くの中小企業の皆さんのお力をお借りしました。ソニーはビデオやテレビはやっていたが、パソコンという高速オペレーションの技術は持っていませんでした。短期間でパソコンを世の中に出せたということは、中小企業の皆様方とのパートナーシップのお陰です。高速にすることでノイズを少なくするということが、テーマになりますが、静岡大学の浅井先生と一緒に行いました。

その次は、実装ですが、ソニーもNEDOのお力で産官学と、九州の大学、関係企業と一緒に5年、6年かかって技術開発をしてきました。これはプレイステーションに現在搭載されている技術です。

情報通信を分解すると、第1ラウンドは、テレビ、ビデオのアナログの波、第2ラウンドはナローバンドの低速パソコン時代、現在は光通信やADSLといったデジタルコンシュマーの時代で、今後は巨大な産業が開かれていきます。第2ラウンドで活躍した勝利者が、次の時代も勝利を約束されているわけではありません。非常に速い変化の中でビジネスチャンスを捉えられるかということが鍵になります。携帯電話を見て頂ければわかりますが、CCDや人工衛星からの電波を入力して、ディスプレーで出力します。これらを現実にするには、必ず組込みソフトが必要になります。いわゆる、ファームウェアと呼んでいるものです。これは不可分になります。これが昔と違うところで、膨大な量の情報をマネジメントしないといけません。また、アナログ技術への変換になるから、アナログ技術というのも非常に大切な技術です。出力のディスプレーを大きくするとテレビになります。モニターとしての時代は多くのプレーヤーが出ますが、今後は必ず日本のメーカーが主役になってきます。これからは地デジに切り替わりますし、相当大きなマーケットが期待できます。

私たちの時代は、大量生産の時代でした。今は個人の時代、消費の時代、同じモノを持ちたいという願望から自分だけのモノを持ちたいという時代です。オンデマンド生産、セル生産で、それぞれのニーズに対応しないといけません。地域戦略が変わってきています。昔テレビを売るときは、日本、アメリカ、ヨーロッパ、一般地域の順番で発売していきました。今では世界同時発売です。リコールに対する感度がどんどん高くなっています。不良率が高いとコスト競争力がなくなってきます。

情報化で一番怖いのは、企業のトップだけではなく、その企業に関わっている人が同じ基準でモノを考えないといけなくなったことです。会社というのは、協力会社の人も、派遣の人も、パートの人も、過去の人も、現在の人も含めて、全ての人で戦わないといけません。

もの作りの現状と特徴

日本の企業がワールドワイドで、トップとか2位とか活躍している業界は、自動車をはじめ、船、家電、時計など世界中の競争にさらされているだけ、非常に強いです。色々な工夫をしています。日本の産業を支えている、半導体製造装置、検査装置なども日本が大変頑張っています。ものすごく大切なところです。

一番考えないといけないのは主食の自給率がミゼラブルなことです。アメリカ、イギリス、フランスは農業国で、彼らの主食になる自給率は本当に高い。これを我々は輸入していて、何でお金を払っているか。90%以上が工業製品で輸出して、穀物を買っています。これが今の日本の産業。工業製品、エレクトロニス製品、自動車が頑張らなければ、どうなるでしょうか。

日本のもの作りの付加価値は、鉄鉱石は5000円が、自動車にするとざっくり400倍の200万円の価値になります。システムLSIは4000倍になっています。また、小田原では、水道水ではリッター10銭いかないが、ミネラルウォーターは2000倍。日本の中で、色々なことを考えると付加価値論があるのではないでしょうか。部品、生産技術、製品技術、労働者の全てが最高で、大企業だけでなく、あらゆる分野の中小企業の中に、きらり、世界に誇れるオンリーワンの技術がある中小企業が多くあります。各企業が切磋琢磨して、産業が伸びようとしています。

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バブルか成長か?(提言)

今はバブルではないかと言われています。中国経済が北京オリンピックや上海万博で吹っ飛ぶのではないか、という人もいます。デジタル家電は今が良い時。自動車はトヨタが良いだけという説がありますが、私は、そうではないと思っています。一つはデジタル家電。これから本格化デジタルハイビジョンの躍進が始まります。まだ先進国のみで、OECDの11億、その次はBRIC’Sなどまだ市場が期待できます。自動車は、2〜3年前ぐらいから、1台でも半導体を250ドル、約3万円利用しています。

日本のメーカーは、今までもアメリカ・ドイツ車に勝ってきました。これからは、車は何で戦わないといけないのか、安全、居眠り防止や、バックする時の仕組み、座った時の快適度具合、環境、省エネ、ハイブリッドカー、燃料電池、色々な代替材料の開発、ユース、リサイクル。これはつまり半導体実装化技術、ハイカー技術です。これは日本が最も得意とする産業であります。

トヨタが、どのようにして中国・広州でオペレーションをしているのでしょうか。日本で行っているもの作りを徹底して、持ち込んできています。QCサークル、提案活動、トヨタウェイなど全部盛り込んで、その上で溶接ロボットの最新鋭を220台入れています。人は一人もいない、精悍です。もの作りの考え方は、日本の工場よりはるかに進んでいる生産設備を導入しています。日系企業から90%部品を調達しています。品質がギャランティーされています。

要するに、電子情報部品、電子情報家電などを含めて、ますます電装化が進んでいきます。全世界で競争力を持った、デジタル家電産業、自動車産業です。中国は成長を続けると思います。

日本で頑張っている産業については、素材や原材料の産業が、圧倒的にシェアが強い。その次に、製造装置や部品です。最終製品のアセンブリは下がっています。中国で安くできるものは、どんどん中国、ラオスを使ってやっています。韓国・台湾へは、生産財の基本となる資本財というデバイス・部品、装置が多く日本から輸出されています。

21世紀を支える日本の技術は、今まで話した通り、情報通信産業、自動車は、小型化・軽量化の技術がますます必要になってきます。それから部品材料、バイオ関係です。環境、携帯電話を見ると、金鉱脈の60倍の、当然、基盤の中にプリント基板の配線が、LSIのワイヤーに入っています。こういうもののリサイクルなどは、巨大な産業です。それに、エコマテリアル、発光ダイオード。新聞に書いてある通り、2015年には、一般の蛍光灯の価格で消費電力は3分の1になります。

それと、日本のロボット技術はすごい。宇宙開発技術も力を入れています。ロボットもいろんな可能性があります。戦車はMEMS、半導体、実装技術も全て含んで、まだまだ日本が得意としている産業が生きる技術です。

我々が考えるべき課題

エレクトロニクス、自動車産業を中心に日本の展望については、問題ないだろうと言いましたが、心配事があるとしたら、1つは、日本の製造業を支える理工系人材です。製造業に来る人は半減しています。銀行、パチンコ屋さんなどにいってしまうのです。それから、日本には地下資源が不足していて、レアメタルが非常に不可欠です。それに、日本はもの作りに対して、非常に寂しい状態です。特に、税制的には21世紀に関わる重点的技術をサポートしてくれています。それから、もの作りに長けていた団塊の世代。この世代は本当に日本のもの作りを背負った人たちです。若い人が金の卵なら、これは銀の卵。正しく評価して頂きたいと思います。この人の技術の継承が今は勝負の分かれ目です。団塊の世代が退職することによって、非常に大きなマーケットがあります。それと、もの作りのヒーローですが、ものを作っている会社に行こうとしている時、どこから戦いが始まっていると思うと、小学生ですね。額に汗してものを作る素晴らしさを本当に評価してもらえることが大切。3Kと思うことは間違いではないか、この辺の運動をどうしたら良いかと思っています。

その次はレアメタル戦略ですね。エレクトロニクスにとっては、耐熱、耐食、蛍光、マグネテッィクの磁性、などが不可欠です。ところが日本はエレクトロニクス産業で、巨大で使っています。国家、民間、大学などは金属に関して果敢に挑戦し、リサイクルしてもらいたいでし。これはピンチでもありますが、ビジネスチャンスです。産官学連携でやる事業だと思います。

最後に

最後にまとめをしますが、これからは単位半導体のLSIの単品ではなくて、実装技術がセット完成をにらんで、一緒になってやっていかなければだめな時代です。きらりと技術を持っている中小企業、産業界、地域をいっぱい作ってまわしていきます。やはり、日本ではエンジェル的機能、もの作りをご支援してくれるファンドのような存在が、少なすぎると思います。大企業は今まで助けて来られたんだから、私も中鉢社長には、谷は脱したから、頑張ってよ、と言ってきました。私も及ばずながら、そのようなネットワーク作りを、加速していきたいと思っています。

佐賀大学学長だった上原さんが「成長の原理」で述べている言葉に、「企業の利益は企業における創造性の総和」というのがあります。製造、社長、開発部門が協力し、結局は、そのような人たちの知恵の総和が利益を生む、そのためにはインターフェースが重要です。社長と専務のインターフェース、協力会社とのインターフェース、そういうものが物凄く大事で、変化に対する対応力も深めます。一流企業はIQテストで数値の高い頭のいい人だけを取っていますが、実は違います。企業で生きる人間は、EQで素晴らしい人間で、これをどうやって育てるのか。「ひとりでは何も出来ない。しかし、ひとりが動かなかったら何毎も始まらない。」私も地元で多くの仲間で、小中学生にもの作りになんとか興味を持ってもらえるように、そして日本を支えてくれるような人材を輩出できるように、頑張っています。皆様のお知恵をお借りできれば、と思います。

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ソニー時代の多岐に渡るご経験についてのお話しから始まり、詳細な資料を交えながらのご講演で、日本の物つくりを応援されている蓑宮様の大変熱い思いが伝わって参りました。資料の最後は「企業とは夢で始まり、情熱で大きくなり、責任感で安定し、官僚化で衰える」というとても意味深い蓑宮様のお言葉で締め括られていました。

 

 

 

 

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