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寺島 実郎 氏「2007年への展望−世界潮流と日本」

財団法人 日本総合研究所 会長、株式会社 三井物産戦略研究所 所長
・・・早稲田大学大学院政治学研究科修士課程終了。三井物産株式会社調査部・業務部を経て、ブルッキングス研究所に出向。米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産業務部総合情報室長を歴任。1999年、株式会社三井物産戦略研究所所長に就任。2006年4月より、三井物産株式会社常務執行役員、 財団法人日本総合研究所会長を兼任。最新刊の「経済人はなぜ平和に敏感でなければならないのか-寺島実郎の発言U」(東洋経済新報社)を始め、著書多数

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1年前の第6回アントレプレナーズ倶楽部において、「2006年の世界潮流と日本産業」というご講演をいただきましたが、今回も、年頭にあたって今後の世界・日本経済の方向性についてお話しいただきました。

「TSUNAMIは2000年の立ち上がりから関心をもち、サポーターの一人として活動しています。この活動をファンケルの池森さん、AOKIホールディングスの青木さんがしっかりサポートされて成果が見え始めてきて大変喜んでいます。昨年の村上ファンド、ホリエモンという事件で直感的に感じる問題意識は、マネーゲームに走らない、技術に注目したVCが本当に日本で苦労して頑張っている、TSUNAMIのようなものを成功させないとまずいということです。」と冒頭にお話し頂きました。

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今年を考える/ 時代認識を基に、世界潮流と日本の進路を考える

どういう時代に来ているのか、時代認識を基に頭を整理してみます。

激流にもみつぶされ、日常性に流されながら平衡感覚を保ち、物事の本質を考え、違った角度からの話で頭に刺激を与えます。

毎年世界潮流と日本の進路を考える基本資料を配っていますが、本日も数字の裏付けの取れた話をします。これからの日本経済の方向性を議論する上で頭に入れておきたい数字があるのです。

人口論から見る日本経済

人口構造の急速な成熟化により、2005年に1.28億人でピークアウトして、2050年には1億人を割り、2100年には6400万人という中位予測となっています。これは決して楽観的な数字ではありません。

戦後50年、人口が5000万人増えた前提でビジネスをしてきましたが、今後45年間で2800万人減少するということです。年に69万人減るということは、鹿児島県の人口は60万人だから、毎年鹿児島県が消えるということになります。エコノミストの予測と違って人口予測だけはまず当たります。極端な移民政策の転換などがない限りですが。

日本は今から100年前の人口4400万人から3倍にして21世紀を迎えました。旭硝子が板ガラスの国産に成功して100年、文字通り木と紙の家に住んでいた日本から今アルミサッシとマンションという住環境を考えると、この100年でアジアの産業大国になったという意味がずしりときます。

人口の話には高齢化が絡みついてきます。100年前には65歳以上が5%でした。私は団塊の世代ですが、2005年に65歳以上人口比率が21%となりました。2050年に人口が1億人を割るときは65歳以上人口は36%、60歳以上が40%の国になります。一方世界は、現在の65億人から91億人になります。基盤需要が世界経済の持続的拡大にインパクト与える中、日本を衰亡にしないために知恵を絞らないといけません。インド中国など人口増加地域と成長ゾーンがかぶります。このふたつの問題意識を持つこと、マクロの背景的要因が重要です。

 

 

 

川上インフレ、川下デフレ/ 企業物価指数からの考察

日本の企業が取り扱っているモノの価格指数で2000年を100とすると、2005年12月に素材原料は158.9で、6割高騰したということになります。中間財は105.7で、ようやく水面にでた程度、最終財は91.7で、まだ水面下です。2006年11月に、素材原料は171.9で、更に上がりましたが、中間財が111.4、最終財が91.7で、一年張り付いたまま、水面下で動いていません。うち耐久消費財が79.9、家電などが2割も落ち込んでいます。ドラッカーのいう、技術革新と競争がモノの価格を劇的に下げるというものです。僕がずっと言ってきた川上インフレ、川下デフレの新しい数字の証が出ています。原料高騰を消費財に転嫁できないねじれている状態が日本経済です。

エコノミストの人気がないのですが、それは話を聞けば聞くほど頭が混乱するからです。日銀の金利引き上げでもめた話もそうで、自分の背負っている局面で景況感がまったく違うからです。政府は58ヶ月連続成長といい、いざなぎ景気を超えたと言いますが、生活者にはぴんとこない。97年をピークに勤労者家計可処分所得は11%減、2000年からは7%落ちています。年功序列、終身雇用なんていう会社はなくなり、かつ公的負担が増大しているので消費なんか増えるわけないのです。

一方法人企業の経常利益は98年を底に2.4倍になったというが、92年の38.1兆円から98年21.2兆円まで落ちて05年には51.7兆円になりました。バブル後、労働分配率が70%まで上がった企業利益が反転して、雇用体系を変え始め、分配率は06年に62%まで下がりました。上場企業の6割は海外活動の成果であり、経営者からすると国内へ配分するモチベーションが働きません。しかも直接投資は4割で間接投資が6割です。

構造変化と日本の今後

ワーキングプアと松坂投手の60億円の話はグローバル化というキーワードでつながっています。余人を持って代えがたいものはハイエンドに引っ張られて、なんでもないものは、この15年間にIT革命による労働の平準化により研修を受けなくてもレジできるようにしてしまいました。それは熟練を必要としない労働は下に引っ張られるということです。失われた10年に分配の構造がまるで反転したということに気づきます。資産家は没落し、フリータが増えました。非正規雇用者が33%まで増え、1260万人います。年収200万円以下が2500万人、労働者の性格が変わりました。労働組合は中間層で700万人、資産家の没落をみて、まだましだという意識があり、それが閉塞感を生んでいます。

個人金融資産は1500兆円です。66年には一人当たりGDP1000ドル、80年に1万ドル、87年に2万ドル、今は3.6万ドルです。きんさん・ぎんさんがCMに出て稼いだお金をどうするかと聞いたら将来のために貯めておくといって爆笑を買いましたが、日本人は貯め込む習性があります。この1500兆円をどう流動化させるか、消費をあげるかの壁になります。また不動産資産が2200兆円あるが、非収益コミュニティ、民間資産部分だけでも500兆円でこれをどうするか。戦略的な視点でのスキームが組めれば消費はでるかもしれません。団塊世代が都心回帰して、また自然志向も出ました。2地域居住という言葉があります。サラリーマンが参加できるように、農業の生産法人化が重要です。東京と田舎の両方が見えると違いがわかり利口になり、刺激も得られます。

アジアが日帰り圏になって、移動を通じてモノを考えるようになりました。本当に欲しいものがあるのか。三種の神器はないがプレステや岩盤浴など増えています。構造的な消費を考えた場合資産を流動化することが問われるでしょう。

中華圏

対米比率貿易17.5%、大中華圏が増えています。去年の話が加速しています。

エネルギー

エネルギー政策でしゃかりきになる人がいなくなったが、責任をもって中心で束ねる存在感がないと散らばってしまいます。

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最後に、経済人こそ平和に敏感でなければならないと締め括って頂き、新刊「経済人はなぜ平和に敏感でなければならないのか 寺島実郎の発言U」のご案内もして頂きました。

今回も、詳細な資料をお配り頂き、具体的な数字をもとに、人口問題、原料高騰、フリーター増加など問題が多いなか、これから日本の進むべき方向性について示唆に富んだお話しをして頂きました。

 

 

 

 

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